●第12回・T-MED政経文化塾論説

●日米から離れる韓国は中国・北と同盟を志向


 韓国によると日本との軍事情報協定(GSOMIA)の破棄を契機に東北アジアに地殻変動が起きている、との見方が強まった。
 中国分析の第1人者・遠藤誉女史は9月19日、永田町社稷会で講演して、まず7月23日に、竹島上空を中国とロシアの戦闘爆撃機と早期警戒機が飛行した事件に注意を喚起した。
 「韓国軍機は韓国の領空を侵犯した、としていた警告射撃をした。菅官房長官はまず韓国に抗議し、ロシアにも抗議した。中露の狙いは、日韓関係の悪化によって、どれくらい日米韓の協力関係の『ゆるみ』が出ているか試したのだ」
それは何か。
 「中露は新しい東アジアのパワーバランスを求めている。何とか韓国を日米の軍事協力体制から引き離そうと企んでいる」
 韓国の文在寅大統領は。
 「8月5日に米韓合同演習に踏み切った『それでも米国にだけは見放されたくない』との思いだ。武力を伴わないシミュレーション演習だったが、北朝の金正恩委員長が激怒した。文氏に対して『2度と同じテーブルにつかない』との声をあげた」
 遠藤氏の話。

 「北は早くからGSOMIAに抗議し、その破棄を求めていた。中国も同じ。決定打は8月20日、北京での日中韓外相会談だった」
 この会談の焦点はポストINF(中距離核戦力)条約のミサイル配備だった。米国は最近、INF条約から離脱した。この条約は米ソ間で結ばれたもので中国が入っていない。だから中国は中距離ミサイルを制限なく開発できる。米国は中国に対抗するためにINFから離脱し、韓国、豪州、日本に新しい中距離弾道弾を配備しようとしている。遠藤氏が続けた。
 「外相会談で中国の王毅外相は、韓国の外相に新型ミサイルの配備反対を強く伝えて『もし配備を受け入れたら中国は国交断裂する』と威嚇した。韓国外相は配備を否定した。その2日後がGSOMIAの破棄だった」

 米国の対中包囲網がうまく進まない。遠藤氏が指摘した。
 「新型ミサイルの配備に韓国がノーと言った。豪州もノー。トランプ大統領は韓国を除外して日本・豪州・インドによる対中包囲網を形成しようとしているが、これもできない。インドのモディ首相とロシアのプーチン大統領は仲が良い。先日、ウラジオでの東方経済フォーラムでモディ首相は145憶ドル相当の武器をロシアに発注した。プーチン氏と中国の習主席の仲は蜜月。対中包囲網は穴だらけだ」

 米韓関係はかなりきびしいようだ。遠藤氏が語った。
 「GSOMIAの破棄前に韓国は『米国に連絡をして了解を得た』と言った。米高官は『それはウソだ。連絡はなかった』と否定した。米国は韓国を信用しなくなっている」
 文在寅大統領はもともと反米・反日だったが、ここにきてその色彩を強めている。遠藤氏が分析した。

 「文大統領は日米韓の同盟より、北朝鮮や中国との同盟を志向している。韓国にとって日本と米国から脅威を受けることはない。日米が攻撃することは考えられない。一方、中国と北朝鮮は陸続きで、敵に回したら攻撃される危険がある。文大統領は中国や北と同盟を結ぶほうが安泰だ、と考えているようだ。また米ソの冷戦は終わった。38度線は冷戦時代の遺物だ。なぜ日米と同盟を結んでいなければならないのか、という気分がある」
 日米から離れる韓国。といって中国や北朝鮮からも明らかに軽蔑されている。孤立する韓国はどこに活路を見出すのか。

「永田町社稷会」主宰 鈴木棟一氏より