●第10回・T-MED政経文化塾論説

老子は第五十一章で、万物を生ずる道、およびその万物を育成する徳の本質を明らかにしています。

「道、これを生じ、徳、これを畜(やしな)い、物、これを形づくり、器、これを成す。是(ここ)を以て万物、道を尊(たっと)びて徳を貴(たっと)ばざるはなし。道の尊きと徳の貴きは、夫(そ)れこれを命ずる莫(な)くして、常に自(みずか)ら然(しか)り」

「道」がものを生み出し「徳」がそれを養い、物が形をとってゆき、道具として役割になったものがこの世界をつくりあげている。それゆえ万物はどんなものでもすべて「道」を尊敬し「徳」を貴ぶのである。これは、だれか権威者が命じたものではなく、常に自然に備わった物なのだ。この章の後半です。

 「故に道、これを生じ、徳、これを畜い、これを長じ、これを育て、これを亭(凝=かた)め、これ毒(厚=あつ)くし、これを養い、これを覆う。生ずるも而(しか)も有(ゆう)とせず、為すも而も恃(たの)まず、長たるも而も宰たらず。是を玄徳という」

 そこで「道」がものを生み出し「徳」がそれを養い、成長させ発育させ、結実させ、成熟させ、愛養し保護してゆくが、それでいてものを生み出しても、それを自分のものとせず、大きな仕事をしても、それに頼ることはせず、首長(かしら)となっても取り仕切ったりはしない。これが玄徳(神秘の徳)と言われるものである。中国の作家・王福振氏の解説です。

 「ここでいう『道』とは何でしょうか。老子が説く『道』とはあるがままに従うことなので、この『道』は自然のことです。万物は自然に従って生まれる、という意味です。また、ここでいう『徳』とは何でしょうか。それは『道』そのものの働きということです。『徳』はどこにも作為がなく、自然の発露から対応するということになります。よって、『徳がそれを育てる』とは、生じた万物は当然のように養い育てるもの、つまりそれが人間の道理だ、ということです」

別の角度から渡部昇一氏が論じています。

 「これは宇宙の生命力、宇宙の法則を述べたもので、要するに宇宙のはじめが女性原理だということを言っている。宇宙はすべてを生み出すから老子の発想としては母親なのです。従って宇宙の生み出す原理は女性。ところがキリスト教やユダヤ教は神様という、いわば『メーカー』が創る男性原理です。『産む』というのは原始人の感覚でしょう。原始人は産まれてくることが不思議だったのだと思います。そこで母を守ることは宇宙の原理になるわけです。」

 老子は新しい生命の誕生を強く考えた思想家のようですね。

  • いまそこにある皇位継承危機。悠仁様の後に備えよ

「皇族を増やす3つの方法」

平成から令和に時代が移った。5月1日、新天皇は即位の儀式である「剣璽等承継の儀」に臨まれた。参列の皇族は皇位継承権のある男性皇族に限定されたが、秋篠宮文仁(継承権第1位)と常陸宮正仁(同3位)の両殿下だけだった。悠仁さまは未成年のため出席していない。

 昭和から平成に移った時は、皇位継承権者が6人もいたのに、急激な減少ぶりである。その6人とは常陸宮、三笠宮崇仁、同寛仁(ひげの殿下)、高円宮、そしていまの天皇陛下と秋篠宮だった。ベテラン記者が指摘した。

 「継承権者がわずか2人、には限りない淋しさを感じた。30年前は6人だったが、その時点で天皇も秋篠宮も未婚で、高円宮も若く、子供を産む可能性が高かった」

 すでに皇太子時代の現天皇と雅子妃の間に男子が生れない危機意識から小泉純一郎内閣のとき有識者会議ができ、2005年に報告書が出た。その柱は、2つあって、①女性天皇および女系天皇を認める②男女を問わず、天皇の第1子を皇位継承準1位にする―というものだった。次の文言があった。

 「偶然に左右される制度は、皇位の安定継承にはつながらない」

 この報告を受けた法案が2006年の通常国会に提出される段取りだった。

ところが秋篠宮紀子さまのご懐妊が明らかになり、様子を見るため法案提出が見送られた。そして2006年9月に男子・悠仁親王が誕生したのだ。ベテラン記者が語った。

「男子誕生で法案提出はうやむやになった。この間、平沼赳夫氏らから、女性天皇への猛反対があった。そしてその直後に安倍晋三氏が自民党総裁・首相に選ばれた。安倍氏は小泉氏と違って強い男系男子論だった」

 同じく男系を主張する産経新聞は社説で書いた。

 「古代から現代まで、一度の例外もなく貫かれてきた大原則は男系による継承である。この原則が万世一系の皇統を守ったのだ」

 しかし、皇統を継ぐべき男子が少なくなって、女性天皇や女系天皇容認が広がっている。例えば公明党の幹部が言った。

 「男系天皇に限ると、皇統が先細りになる。かつてと違って今は天皇は側室を持てない。男系にこだわらなくてもいいのでは、という感じだ」

 皇室問題に詳しい評論家の八幡和郎氏が言った。

 「令和の御代になって『愛子天皇待望論』が浮上しているが困り者だ。平成時代に上皇陛下(平成天皇)の意向として『女帝や女系であっても、自らの子孫に継がせたい』というムードがあった。その心配が現実化している」

こう言って八幡氏はこの問題へ次の提案を示した。

 「皇位継承権はあくまで男系男子が原則だ。議論すべきは悠仁さまの皇位継承の後がなかった場合、候補者をどう確保するか、だ」

そして具体的には3つの方法を示した。

  • 宮家の男系男子による継承。たとえば、お子様のいない常陸宮家の跡を、常陸宮の姉である東久邇成子様の子孫の東久邇家のだれかが継いでも違和感がない②女系男子。真子さまや佳子さまの男子が秋篠宮を継ぐのは女性宮家より、抵抗が少ない

③皇族の女性やその子孫が遠縁の男系男子と結婚して生まれた男子。旧宮家に限らず、江戸時代から戦前に公家や華族になった者の子孫を含めるとかなりの数の男系男子がいる」

 議論のポイントは皇位継承の資格者たる皇族を増やすことを急げ、である。

ベテラン記者が論評した。

 「安倍首相は就任以来13年、この国家の最重要問題に対応していない。明確に危機が見えているのに手をこまねいている」

「永田町社稷会」主宰 鈴木棟一氏より